実際にあった詐欺の一例です。クライアントは既にいくらか送金をした後に相談を受けたのですが、以前たまたまEmiratesNBD銀行に出向いたこともあり、相談中にすぐに詐欺である事を看破しました。
- Skypeに見知らぬアラブ人からメッセージが届く
- 宛名は”Mr. Khalid Juma Al Majid”というもの
- ちなみに同名の方がEmiratesNBDのDirectorとして顔出しをしている
- 「私の銀行で相続の手続きをしていたが、同じ名字の”〇〇(あなた)”を見つけた」
- これはおそらくSkypeディレクトリの名字から自動的に作成されたもの
- 「生前、本人から相続の件で依頼を受けていたので、手続きをして欲しい」
- 相続金は$36,400,000(約38億円)
例文:(引用元はGmailで、ハイチの地震により…となっているが、本件ではSkypeメッセージにて、相続のためとなっていた。)
I am sorry to contact you through this medium. I am Khalid Juma Al Majid, a senior staff and director of Emirates NBD Bank here in UAE. I have in my bank $36,400,000.00 that belongs to my late client who pass on during deadly earthquake on 12 January 2010 in Haiti which killed between 250,000 and 300,000 people.
http://www.419scam.org/emails/2015-11/22/01029674.89.htm
(意訳)このような形でご連絡して申し訳ありません。私は、アラブ首長国連邦のエミレーツNBD銀行のシニアスタッフ兼取締役のハリド・ジュマ・アル・マジッドと申します。2010年1月12日にハイチで発生した大地震で25万人から30万人が死亡しましたが、その際に亡くなられたお客様の所有する36,400,000ドルを銀行に保管しています。
あとは、手続きと称して弁護士費用を数百万円ずつ、EURで送金をして欲しいというもの。その弁護士から届く書類にKhalid氏のパスポートもあるのだが…

一般的に、パスポートは様々な偽装防止加工が成されていて、日本のパスポートだと桜の文様や菊の紋が浮かんだり、発行年数に応じて特定の文様が光ったり光らなかったりします。UAEのパスポートの場合は真ん中にモノクロの透かしが入り、特定のフォントはあえて独自のものを使っています。
看破できたのはこのフォントの部分です。正直に言えば、しょせん画像なので透かしその他はある程度工夫すればそれなりに入れられます。しかしフォントが違うと偽装文書である事は明確になるのです。
その後の追跡調査により、流出元のパスポート画像、差し替えられたKhalid氏の写真も判明しましたが、クライアントは既に3000万円ほど送金してしまった後でした。当然わかった頃には既に資金洗浄済みで後追い出来ない状態になっていました。よく考えれば送金先がUAEの弁護士事務所なのに、送金先国がUAEじゃなくて、しかもユーロ送金って言う時点でオカシイですね。
偽装防止技術はお手持ちの免許証(特定のフォントの文字幅が狭かったり、管轄する公安委員会によりフォントが違う)や、お札(ユーリオンという丸い模様のパターン。なんと日本のオムロンが開発)からも身近に発見することが出来ます。


ひとつの趣味や雑学として、こういった偽装防止技術に少し精通しておけば、未然に詐欺トラブルから身を守れるかも知れませんね。
最近ではかなりお安く購入できるブラックライト。お札はもちろん、郵便物や大理石のタイルなど、様々な所で隠された文様を浮かび上がらせる事が出来ます。さらに、男性にはオススメしませんが、お手洗いをブラックライトで照らすときっとビックリします。ペットと一緒に暮らしている方も、お掃除の際には便利かも知れません。目に見えないホコリなどもキレイに浮かび上がります。